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農薬や化学肥料が環境に与える影響について

現在、国内で使われている農業資材による大気・水質汚染への取り組みは、未だ完全なものではありません。農薬や化学肥料などの環境への汚染については、その追跡が困難であることや、利便性が優先されているため、課題解決がなかなか進まない現状があります。

 

農薬については「農薬取締法」で制定されている50項目をクリアーした農薬だけが実用を許されていて、これをもって安全とされています。しかし分解が遅いものは大気と地上の間を何度も行き来して、極域まで長距離を移動するといわれており、長期的な環境汚染が危惧されるところです。また、ベーパードリフト(大気中の移動や拡散)による、農業従事者や周辺環境への長期暴露や、近年、化学物質過敏症の原因物質としても農薬が話題に上げられています。

 

現在、弊社の主力農作物である生姜は、農薬使用の上限が年間30回と定められています。

生姜の全国作付け面積は約1800ha(大阪府に相当する面積)ですので、生姜の作付け期間である4月から11月の間に、大阪府全域に30回の農薬が散布されているイメージです。生姜以外の作物についても各作物ごとに農薬使用回数/年が定められていますので、これらをトータルで考えると、大変な量の農薬が散布されている事になります。

 

このように大気中の農薬の挙動に関する研究は、重要性が高いとされていますが、現時点での取り組みは決して十分ではなく、課題は山積されています。

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1940年から1960年にかけて起きた緑の革命以後、化学肥料は一反あたりの生産量を飛躍的に増やしています。現在、国内の99.5%が化学肥料を使って栽培されていますが、国内に流通している化学肥料(窒素肥料以外)は100%輸入に頼っています。自国で製造されている窒素肥料についても、1トン製造するのに1.1トンもの重油と110kw/hもの電力を消費しますので、重油が100%輸入であることを踏まえれば、農作物の国内自給率は限りなくゼロに近いと言えます。

   

化学肥料を畑に施肥すると、施肥量の40%から50%が植物に吸収されることなく地下に流れます。この事で、窒素やリンによる地下水・河川の富栄養化による水質汚染は世界的な社会問題になっています。肥料分の濃度が上昇した水中では、プランクトンの異常増殖によって溶存酸素不足が起き、有機物の分解が停滞してヘドロ化し悪臭を放つようになる他、アオコ(藍藻やシアノバクテリア)の異常繁殖によってその代謝物である猛毒のミクロキスチンが生産され、家畜や人が死亡する事例も起きています。(WHOはミクロキスチンの飲料水ガイドラインの暫定基準を1μg/lと定めています)

 

地下の生態圏が失われ植物が育たなくなる

健康な土1gの中には数億匹以上の微生物が生息していると言われています。多くは植物の根と共生関係にあり、主に空気中の酸素を利用してエネルギー代謝を行う好気性菌と酸素を必要としない嫌気性菌が存在します。好気性菌は地表から地下30cmほどのところで主に活動し地表に近いほど活発になる為、地表の落ち葉や枯れ草などを分解して土の養分に変える働きがあります。地下40cm以下では酸素を必要としない嫌気性菌が生息していて、空気中の窒素を固定化する働きがあります。地表近くの好気性菌が空気中の酸素を消費することで、酸素を嫌う嫌気性菌の生命活動圏が維持されます。嫌気性菌は空気中の窒素を土中に固定する事で植物は自然と育つことが出来るのです。

化学肥料が施された土では、微生物が植物の根との共生関係を失う為、養分供給の担い手を失います。。結果、硬く生命のいない土となり、化学肥料がなくては作物が育たなくなってしまうのです。

​私たちの取り組み

 化学肥料が環境に与える影響として最も重大なことは、土中微生物の生態系を失うことにあります。自然界では、微生物と植物は共生関係にあり、微生物の代謝によって植物は必要な養分を得ています。人の都合に合わせて化学肥料を施した土では、植物と微生物の共生関係が破壊されて土は力を完全に失うことになります。

土は地球にしかないと言われています。月には砂はあるけれど土はありません。なぜかと言えば月には生き物がいないからです。化学肥料は一時的な対処方法としては大変優れたものです。また、糖度の高い特別な果物などと栽培する上では農薬は必要なのかもしれませんが、全ての作物に必要なかといえば決してそうではなりません。

弊社では、自然栽培で生姜を栽培しています。土中の生態を理解し育むことは、結果的に人が暮らしやすい環境を作ることにも繋がります。狩猟採取から農耕に移り「緑の革命」を経て、農業は多くの食料を安定して生産出来るようになりましたが、その一方で、地球環境を汚染し続け、同時に様々な病気にも悩まされています。このような社会背景を踏まえて、私たちは自然栽培の生姜をより多くの皆様にご活用いただけるよう、栽培と生産・販売に取り組んでいます。自然栽培で生姜を育てることは大変難しいことですが、この栽培方法が確立することで、より多くの皆様の健康と環境保全に寄与できるものと考えています。

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