農薬について


 

生姜栽培では通常、作付け前に地下30cmの範囲に薬剤を回して、約一月ほど時間をかけて土中の虫や植物の種、

細菌や微生物を殺して作付けをします。また、作付後も虫やカビを殺すために農薬を散布しますが、高知県では、

生姜の栽培期間に30回(約週に一回程度)の散布が許可されています。

 

全国の生姜作付面積は、約1870ヘクタールで、これは香川県(1877ヘクタール)とほぼ同面積になります。

因みに大阪は1905ヘクタール、東京2191ヘクタールです。

週に一回、香川県全域に農薬を散布していると考えたら、皆さんはどう思われるでしょうか。

農薬散布に当たっては、防護マスクをする事が義務つけられている事を踏まえると、

農薬が如何に環境を汚染し、同時に私たちの身体を汚染するものであるかについて、

容易に想像できると思います。しかも、これらが毎年行われているのです。

 

生姜だけで香川県一軒分相当ですから、その他の農作物全てを合わせたらどれだけの面積に

農薬が散布されているのか、、想像すると恐ろしい思いがします。

農薬散布に当たっては、環境保全の観点から、作物別に農薬散布量の上限が決められていますので、

これをもって安全という論理が働くのでしょうが本当にそうなのでしょうか。

因みに、この基準を破った場合についての罰則規定はありますが、これを取り締まるチェック機関はありません。

 

柚子の栽培に関しても、殺虫剤(カナブン、カメムシ、カミキリムシ、エカキムシ)、

殺菌剤(黒点病、ソウカ病)、除草剤、が年間通して散布され、収穫直前に防腐剤が散布されています。

農薬散布時期になると、広域に噴射式で農薬が散布されている場面に出くわす事が多くありますが、

私は逃げるようにその場所から離れます。本当に、おかしな社会です。

 

2015年、世界保健機関(WHO)が管轄する「国際がん研究機関」で、除草剤として広く使われている

ラウンドアップについて、発がん性リスクの一覧に加えたことを発表しました。

警告レベルは“probably”という言葉を用いた上から2番目と高く、グループ2Aの「ヒトに対して

恐らく発がん性がある」というものです。

 

また、防虫剤に含まれるネオニコチノイドがミツバチにかかった場合、ミツバチが死んでしまう事が明らかと

なっています。これらの事実を農林水産省が知った上で、尚、これらの使用に一定指導を示すだけで、

その使用に関しては許可しています。なぜ、有害だと分かっていても使われるのでしょうか。

それは農林水産省自体が、「農薬は、品質の良い農産物を安定的に国民に供給するために必要なものです。」

と謳っている事、良い品質の農産物の基準が「大きい、形が良い、傷がない」などの「見た目」に

重きが置かれている事、これによって多くの農家は何の疑問もなく農薬使用を使う事が出来ているのです。

除草を手ですることは、大変な労力と時間を要しますから、許可された農薬であれば、それを使うのは

当然かもしれません。

 

農薬の有害性を民間がいくら訴えても、とどのつまり農林水産省が規制しない限り、

生産現場から農薬が消えることはないのです。

 

農薬だけでなく、近年では化学肥料(窒素肥料)による水質汚染が問題になっています。

地下水水質状況は、人の健康の保護に関する環境基準が設定されている26の項目の中で、硝酸性窒素及び

亜硝酸性窒素が環境基準を最も大きく超えており、これらを一定以上含む水をヒトが摂取すると、

血液の酸素運搬能力が失われ酸欠になる症状(メトヘモグロビン血症)を引き起こすとともに、

発がん性物質であるニトロソ化合物が体内で作られる可能性が指摘されています。

また、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は、河川や湖沼などの閉鎖性海域の富栄養化の原因にもなる物質

であるため、これらの使用規制は急がれる課題となっています。

 

農林水産省でも、減農薬及び環境保全型の農業への支援策をとっていますが、現状ではなかなか難しい課題です。

農薬を規定量マックスで栽培している農家が減農薬もしくは無農薬にシフトする人は極まれです。

既存の卸市場では、農薬や化学肥料ありきの見た目基準で取引が行われている為、

生産者にとって減農薬にシフトすることは、大きなリスクを伴う事なのです。

 

 

・農薬による自然破壊を少しでも減らすために

 

 

皆さんが日ごろ食材を買っているスーパーに並べられている野菜などは、特別な表示がない限り、

すべて農薬や化学肥料で育った野菜です。現状、国内の食料は、化学肥料と農薬に支えられていると言っても

過言ではありません。これらは、既存の卸市場から一般のスーパーや八百屋に流れています。

先にも書いたように、一般卸市場では、農薬や化学肥料ありきに商品企画になっている為、

農家はこれらを満たすために農薬や化学肥料を使わざるを得ないのが現状です。

 

空の下では、化学農薬や化学肥料を使わずに、農業が生業となる社会を目指しています。

どうぞ、一人一人の日々の営みから、自然環境及び農業が護られる事を知っていただきたいと思います。

『空の下』は農家の一人として、より多くの消費者に「美味しい」と思ってもらえる農作物を作る事、

そして食べたら元気になる農作物を作る事で、環境及び社会に貢献したいと考えています。