津野永輔(1969年生まれ)さんの田んぼは、四万十町東部の四万十川中流にあります。清らかな水と寒暖の差が適度にある事で、美味しいお米の取れるお米の産地です。

 

(栽培品種)ヒノヒカリ

(栽培面積)1ヘクタール(10反)

(反収)4俵

 *高知県で栽培されるお米の反収は平均7俵から8俵です。これらは化学肥料や有機肥料を入れたお米が主になります。自然栽培では一反から取れるお米の量が平均の約半量になります。

 

[栽培方法]

無肥料・無農薬栽培。自家採種5年。

箱苗、水苗代で育苗後定植。

 

[食味]

四万十町の多種多様な生き物たちが育む自然の中で育つ津野永輔さんのお米は、そこで生きる生き物たちの営みの和(輪)によって美味しく育ちます。香りがとても良く、炊き上がったお米から漂う丸みを帯びた膨よかな香りは、大きく突き抜けた香りとは違う、お米本来の優しい香りです。一口食べると口の中にお米の甘味が広がり、食感も適度な粒感とモチっと感がありとても美味しいです。

 

[大切にしていること]

四万十川の支流、中神ノ川に流れる水と降り注ぐ太陽の光が育む津野さんのお米。長年の経験の上に、毎年変わる気候を肌で感じ取り、稲の育ちを観察して適期に必要な手助けをする。無肥料栽培で何より大切な仕事は、タネの特性を理解し、そこでの生命の営みの循環に栽培者自身が参加して、自然を味方につける事です。「ありがとう」と声をかけ、稲の育ちを手助けする事。稲との人生を楽しむ事で結果的にお米が美味しく育ちます。

 

お米への愛情は味に反映するものだと考える津野さんは

「自然観察の中で人間がお手伝い出来る最高の助手になりたいと思ってます」と言います。

自然に謙虚な人が作るお米は、生命力に溢れた美味しいお米になるんですね。

 

 

[生産者:津野永輔さんから]

 なぜ無農薬・無肥料栽培をしているのかについて少し話をしたいと思います。

以前、あるチベットの高僧のミイラがとても芳しく良い香りがするという話を聞いたことがあります。その高僧は生涯粗食で純粋な食べ物しか食べなかったそうです。僕はその話を聞いて「僕もいつか死ぬ、もしかしたら野山で野垂れ死ぬかもしれないし、死後数日、数ヶ月経ってから発見されるかもしれない。その時に腐らず良い香りのする津野永輔でいたいと思ったんです。

 

先日、僕のお米を買ってくれるお客様に言われて凄く嬉しかったことがあって、その方は日々酵素玄米を食べているそうなんですが、以前買っていた有機玄米は三日も経つと臭くなるけれど、僕のお米は何日経っても臭くならないと言って追加注文してくれました。これも無肥料栽培の成果かなと思います。

 

農薬や肥料は使い過ぎると、農作物には 硝酸態窒素が残留しますし、過度な養分は河川に流出して川や海を汚します。僕は魚も美味しく食べたいので、海や川を汚したくないという思いもあります。僕一人が無肥料栽培をしたからと言って、大した力にならないかもしれなけれど、気がついた人から自然を汚染しない取り組みをしていくことが大切だと思うので、僕の栽培方法を真似してくれる人がいればどんどん真似して!と言いたいですね。

 

 

 

 

(空の下から)

私は少しの期間、大手スーパーで安いお米買って食べていた時期がありました。特に美味しいお米ではなく形ばかりの無味無臭のお米です。そんなお米を食べて続けていると徐々にお米を食べたいと思わなくなるんですよね。おかずの味も濃くなりますし、味覚が雑になってきます。美味しいお米を食べるようになると、食べる時間がとても充実してくるのが分ります。無理なく自然と粗食になります。なぜなら、その物の味を食べる方が美味しいからです。

 

人は理屈だけでは満足しません。美味しいから満足するのです。味も香りもしないような不味い食材では、いくら粗食がいいと知っていても難しいです。先ずは美味しいお米を選んで食べましょうと伝えたいです。